コラム
市場価値とは?
2016/12/13
人材市場において「市場価値」という言葉が当たり前のように使われている。この「市場価値」という言葉について、改めて定義をしたり、その意味を考えることは、転職を考えた際においてだけではなく、将来に向けてどのようにキャリアを築いていくか考えるうえで極めて重要なことになろう。
転職エージェントとして沢山の方にお会いしてきたが、一般的には、企業からどれだけ多くの報酬をもらうことができるか、という意味で市場価値を使っているように思う。
ある意味では正しいが、こういった定義にフォーカスをし過ぎてしまうと大切なことを見失ってしまう。
企業から受け取る報酬が、何と交換されているか、ということを考えることが大切だ。企業は、社員の労働という役務と報酬というお金を交換している訳だ。
この労働というものは、ホワイトカラーになればなるほど、時間給の要素から企業にもたらす成果給の要素が高まっていく。つまり、「労働を通じた成果」と「報酬」が交換されているわけだ。
今、転職活動をしていて目の前の企業から少しでも多くの報酬をもらうことに目が行き過ぎてしまっているのならば、5年、10年先を少し見て、自分自身が役務の提供を通じてどれだけの成果を創出できる人材になりたいか、そして、それを実現するためには、どのような環境がよりふさわしいかということを考慮することがとても重要になる。
考えて欲しい。年収1,000万円の人が転職して800万円になったとしても、この人の能力・経験が失われるのではなく、そこに新たな職場でのノウハウや人脈が加味され、今までよりも企業に提供できる価値が増え市場価値が上がる行為であるはずだが、受け取る報酬だけを見れば市場価値が下がる行為と判断してしまうことになる。
大切なことは、自分自身の戦闘能力が上がるかどうか、ということを忘れてはいけない。
「市場価値」を、「社会や企業に提供することができる価値」と捉えて、それを高めることができるかということをキャリアを考える上での1つの軸に加えていただくことをお勧めしたい。