コラム
AIにできないこと
2017/01/25
先日、アクセンチュアの大先輩と小一時間、喫茶店で珈琲を飲んだ。
半年ぶりに会ったこともあり、お互いの近況を報告し、話題は「AIでできること」と「人間にしかできないこと」ということになった。
これまで人間が行ってきた仕事をAIが代替するという変化は、ビジネスの現場で凄まじい速度で起きている。例えば、コンサルタントがプロジェクトで行う調査も、AIであれば遥か多くの情報ソースを参照し分析することができる。人間よりも、莫大な量の情報を、正確に、不平不満を言わずに、情報処理することができる。
人間の仕事が機械に奪われるという言い方が正しいのか、人間が強いられていた労働を機械にさせることで解放される、という言い方が正しいのかはわからない。いずれにしても、多くのことが人間の手から離れていく将来を見ることになるだろう。
「コンピューターに苦手なものは何か」という話になり、それは「矛盾を受け入れること」ということではないか、という話になった。
人間とは、様々な矛盾を抱えた生き物であり、その矛盾とどう向き合うか、ということに人々は普段から格闘しているはずだ。
例えば、転職エージェントという仕事を例にするならば、転職を考えている方に内在する矛盾を整理し、それとどう折り合いをつけるかを共に考え、その方の人生をトランジションさせるサポートが転職エージェントの役割の1つとなり得ると改めて考える。
企業のポジションを紹介するだけであれば、AIが代替していくことになる。しかし、転職候補者が自分にとって何を選択するのが良いのか、を決めるためには、その方が内部に抱える矛盾に向き合い、その中で解を導くことが必要になる。
未来がどうなるかわからなく、また、人の価値観は時代や年齢と共に変化する限りは、自分の価値基準を明確に定義することは難しく、ここに向き合いサポートをする仕事はなくならないのではないか。