コラム
嫁ブロック
2017/09/25
職業を決める際に、最も影響を与える人物は誰だろうか。
もちろん、自分自身の進路は他人に影響されず自分だけで決めるという方もいるだろうが、多くの方は、20代前半までは親に、結婚してからは配偶者に、影響されるのではないだろうか。
転職のご相談をいただく際に耳にする言葉に、「妻がYESと言わないのではないか」「嫁が反対する」といったことがある。
断り文句として角が立たないように恣意的に使っている方は良いと思う。問題は、本人が本当にそう思っている方の場合だ。
仮に、自分にとって大切な配偶者が、自分、そして家族の将来を真剣に考え、挑戦したいと言った時に、それを本当に反対するだろうか。
答えは、NO。反対しないはずだ。そう信じたい。
ただ、現実には、そういかないこともある。
現在の生活水準を守ることができるのか、将来も安定的な生活ができるのか、ということが問われるはずだ。
ここからが勝負となるわけだ。
「現在の延長線上にある未来」は想像しやすい。一方で、「今、環境を変えて手に入るだろう未来」は想像しにくい。
そもそも、この2つを比較するとなる、前者は過去と現在を見て想像するのでそこまで意識しなくてもイメージできるが、後者は変数が多く考えることが億劫ということもあり意識しないとイメージができない。意識的にイメージをしない結果、それを不確実な要素をリスクと捉え、リスクが多いから、という理由で却下されてしまう。
自分自身を説得するためにもそうだが、配偶者を説得するためには、「今、環境を変えて手に入るだろう未来」の楽観ケースと悲観ケースをしっかりとイメージする/させることが重要だ。このイメージをする/させるには、知的忍耐力を必要とする。
また、上記の「現状の延長線上にある未来」には隠されてしまいがちな、正しくはない前提が置かれていることが多い。
多くの方は、いまどき、「大企業にいたら会社は簡単には潰れないし安定だ」、と思っている人なんているのか?と考えるかもしれない。
頭では多くの方は気付いている。だけれども、心がそれに追いついてこなく、大企業にいる方が安定だ、と思ってしまっている自分がいる、かもしれない。
個別企業名を出すまでもないが、ここ何年かで日本を代表する一部上場企業が潰れている。そして、安定だろうとそれに頼った人は、その安定と思っていた足元が救われるとどうなるか。悲劇そのものだ。
陥りがちなことは、今の環境が永遠に続くものであろうという前提を無意識においてしまうことだ。
将来は、必ずしも、過去と未来の延長線上に描けるものではない。
30年前にドコモの出現を予見できた人はどの位いただろうか。10年前にFacebookの隆盛を想像できた人はどの位いただろうか。
何かに頼ることが安定ではなく、どんな環境でもやっていく、という意志そのものがその人に安定をもたらすのではないか、と私は考える。
転職というのは、働く場を変えポジションや待遇を向上させる行為でもあるが、何よりも、将来を考え、実現したい自分に近づくための岐路であって欲しいと願う。
その選択をするためには、例え、周囲にすぐに理解してもらえないことであっても、時間をかけて丁寧に伝え理解者を増やし、夢を共有することが大切だ。